2024年5月13日(月)第23回目の短編小説読書会を行いました。
今回も予想を上回る数の方から申し込みいただき、2部制で行う予定でした。
ところが、第1部の参加者から体調不良やら仕事の残業やらでキャンセルが続出してしまい、残りの参加者は急遽第2部に呼んで合同で実施することとなりました。
結局、全体で7名、うち初参加は2名で行うことになりました。
自己紹介の後は初読の感想から議論を始めていきます。
主観的な評価では高評価をつけた人が多かったです。設定はやや特殊ではありますが、言葉やストーリーが易しいことが要因だと思われます。
普段近代の文学をたくさん読んでいる方にとっては、論点がわからずすっきりしない作品かもしれません。
もうすぐ定年を迎えるホテルマンのおじさんと、言葉が話せない少女の物語。
おじさんはトラックに乗ったひよこを少女と見たところから、どことなく心が通じているような感覚を覚えます。そこから、少女は動物の抜け殻をプレゼントするようになります。
この「抜け殻」プレゼントが連続して続くところから、読者もただの偶然ではないだろうな、という感覚を持つはずです。その「抜け殻」が何を象徴しているのかはわかりませんが、「抜け殻」はおじさんと少女をつなぐ共通点であるように見えます。
後は、卵から中身を吸い取る描写は生々しいですね。
何が言いたかったのかは、正直わかりませんでした。
昔(昭和50年代)はひよこに色をつけてお祭りなどで売るということが一般的に行われていたようです。今は動物愛護の観点から行われていませんが、東南アジアでは今でもあると聞きます。色をつけられたひよこは、その薬剤のために長くは生きられないそう。
そんなひよこがトラックから飛び出てしまった時、少女はひよこに語りかけます。
おじさんはそのことが、言葉が話せない(と思っていた)少女のプレゼントなのだということに気付くのでした。
余談にはなりますが、作者の小川洋子さんが幼い頃の時代は、日本でまだカラーひよこが売られていた時代です。もしかしたら、物語に出てくる少女くらいだったのかもしれませんね。
今回も楽しい読書会でした。
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次回読書会の日時は未定ですが、課題文は先に決まりました。
※青空文庫にはないので、図書館等で探して読んできてください。
短編小説集『東京奇譚集』の中に収録されています。
次回の参加もお待ちしています♪